技術専門書、プログラミングスクール、インターネットの記事を参考に作成したアプリケーションでもローカルだけの動作確認ではなくインターネット上に公開して動作確認したいものです。初心者の人であればアプリケーションを公開するのにどのサービスを利用すればいいのかわからないと思うので無料で簡単にサービスの公開ができるHerokuにおけるデプロイ方法について解説したいと思います。

macOSのBig Surを利用して動作確認を行っています。macOSを利用して開発経験のある人なら必ずインストールされているNode.js, npm, gitがすでにインストールされている前提で話を進めさせて頂きます。

Herokuを利用するためにはアカウントの作成が必須です。しかし、アカウントの作成時にはクレジットカードの入力は必要ないので安心してください。

Herokuとは

HerokuはPaaS(Platform as a service)と呼ばれるクラウドベースのサービスです。作成したサービスを一から公開しようとするとOSのセットアップからプログラミング言語、フレームワークの準備など技術と経験が必要となりますがHerokuはサービスを公開するためのインフラストレクチャーが準備されているので開発者はコードの作成に集中することができます。本文書ではHerokuのアカウントの作成だけではなくNode.jsを使ったシンプルアプリケーションのデプロイも説明しているのでOSなどの準備が必要というのがどういうことか理解できるかと思います。

Herokuのアカウント作成

Hrokuを利用するためには新規でアカウントの作成を行う必要があります。

Herokuのトップページ
Herokuのトップページ

画面の右上、または中央の右寄りにある”新規登録”ボタンをクリックします。

登録を行うためには名前とメールアドレスと役職と国が必須となります。必要事項を入力、選択して”無料アカウント作成”ボタンをクリックしてください。

登録画面
登録画面

”無料アカウント作成”ボタンをクリックすると以下の画面が表示されます。入力したメールアドレスに確認メールを送信したことが記述されています。

入力アカウントへのメール送信メッセージ
入力アカウントへのメール送信メッセージ

本環境ではGmailを使っているのでGmailの受信トレイにHEROKUからメールが届いているので中身を確認します。アカウントの確認メールなので文章にあるリンクをクリックします。

アカウントの確認メール
アカウントの確認メール

パスワードの登録画面が表示されるのでパスワードの登録を行ってください。パスワードの文字列に制限があるので注意しながら設定を行ってください。パスワードに問題がなければPassword requirementsにチェックが入るので”パスワードを設定しログインする”ボタンをクリックしてください。

パスワード登録画面
パスワード登録画面
パスワードを設定しログインするボタンをクリック後しばらくしてエラーが表示されました。Herokuのトップページにあるログインボタンからログインを行うと問題なく先に進むことができました。

Terms of Serviceが表示されるので中身を確認して”Accept”ボタンをクリックしてください。

Terms of Service
Terms of Service

アカウントの登録は完了し、Welcome to Heroku画面が表示されます。これがHerokuのダッシュボード画面です。

Welcome to Heroku
Welcome to Heroku

Billing(請求)の確認

クレジットカードの情報も登録していないので金額を請求することはありませんがお金についての確認は必要なのでBilling(請求)について確認しておきましょう。

画面右上にある忍者のアイコンをクリックしてください。メニューが表示されるので一番上のAccount settingを選択してください。

メニューの表示
メニューの表示

アカウントの管理画面の上部にあるBillingをクリックすると請求の情報を確認することができます。Free Dyno Usageの箇所にクレジットの情報を登録すると450時間の追加の無料枠がもらえます。550時間がクレジットの情報を登録しない場合に利用できる無料枠です。

Billingタブの中身
Billingタブの中身

請求情報の見方も確認したので決められた時間内であれば安心して利用できることがわかります。無料枠で運用していれば時間が過ぎたからといって請求されるわけではありません。

デプロイ方法の確認

ここから実際にHeroku上にサービスを公開する手順を確認します。デプロイという言葉が聞き慣れない人もいると思いますがサービスを公開すると考えてください。

今回はNode.jsのExpressを利用して作成したアプリケーションを公開するのでLooking for help getting started with you language?でNode.jsをクリックしてください。

デプロイの準備
デプロイの準備
Create new appからアプリケーション名を設定することが可能です。今回はコマンドラインを利用してアプリケーションの設定を行っていきます。GitHubとの連携も可能です。

Node.jsでのGetting Startedページ(日本語ページではスターターガイド)が表示されます。右上から日本語に変更することも可能です。HerokuのコマンドラインツールであるHeroku CLIのインストールを行います。Heroku CLIのインストールにはGitが必要となります。またHomebrewを利用してHeroku CLIをインストールします。

Getting Startedのページ
Getting Startedのページ

Homebrewの使用方法については以下が参考になります。

Homebrewがインストール済の環境であればbrew –versionでバージョンを確認することができます。


% brew --version
Homebrew 3.0.0
Homebrew/homebrew-core (git revision d1696; last commit 2021-02-11)
Homebrew/homebrew-cask (git revision 428eca; last commit 2021-02-11)

gitもインストールされていればgit –versionで確認することができます。バージョンが表示されればインストールは完了しています。


% git --version
git version 2.30.1

brewコマンドでHeroku CLIをインストールします。


% brew install heroku/brew/heroku
macOSのBig Surで実行するとError: Your CLT does not support macOS 11.が発生。対応方法についてはメッセージに表示されるのでメッセージ通りsudo rm -rf /Library/Developer/CommandLineTools、sudo xcode-select –installを実行するとエラーは解消にインストールが問題なく完了しました。

Heroku CLIのインストールが完了したらheroku loginコマンドでHerokuにログインできるか確認します。


 % heroku login     
heroku: Press any key to open up the browser to login or q to exit:

キーをクリックするとブラウザからHerokuへとアクセスが行われ下記の画面が表示されます。Log Inボタンをクリックしてください。

Herokuへのログイン確認
Herokuへのログイン確認

ブラウザ上でHerokuへのログインが完了していない場合はログイン画面が表示されます。

Herokuログイン画面
Herokuログイン画面

ログインが完了している場合はログイン完了画面が表示されます。

Herokuへのログイン完了
Herokuへのログイン完了

そのままターミナルでのログインが完了します。

ログインしたターミナルからログアウトしたい場合はheroku logoutコマンドでログアウトできます。


 % heroku logout
Logging out... done

デプロイするExpressサーバの構築

Expressサーバを構築するためにはnode.jsとnpmがインストールされている必要があります。

npm –version、node –versionコマンドを実行してインストールしていることを確認してください。もしインストールされていない場合はインストールを行ってください。


% npm --version
7.5.2
% node --version
v14.7.0

Herokuにデプロイするアプリケーションを作成するためにExpressサーバを構築します。Expressサーバについて知識がなくても手順通りに進めればデプロイはか可能です。数行のコードをコピー&ペーストするだけです。

任意の場所に任意の名前のフォルダを作成してください。ここではheroku_first_appとしています。フォルダを作成後、heroku_first_appに移動してnpm init -yコマンドを実行します。


% mkdir heroku_first_app
% cd heroku_first_app
% npm init -y

npmコマンドでExpressのライブラリをインストールします。


 % npm install express

heroku_first_appフォルダにindex.jsファイルを作成してExpressサーバの起動に必要なコードを記述してください。


const express = require('express')
const app = express()
const port = process.env.PORT || 3000

app.get('/', (req, res) => {
  res.send('Hello World!')
})

app.listen(port, () => {
  console.log(`listening on *:${port}`);
})

package.jsonファイルを開いてscriptのtestの下にstartを追加してください。


"scripts": {
  "test": "echo \"Error: no test specified\" && exit 1",
  "start": "node index.js"
},

ローカルでExpressサーバを起動するためnpm startを実行してください。npm startで先ほどpackage.jsonに追加したnode index.jsが実行されます。


% npm start

> heroku_first_app@1.0.0 start
> node index.js

listening on *:3000

ブラウザでlocalhost:3000にアクセスしていHello Worldが表示されることを確認してください。

Hello Worldが表示
Hello Worldが表示

Heroku CLIを使ったデプロイ

ローカルでのExpressサーバの動作確認ができたので作成したシンプルアプリケーションをHerokuにデプロイします。

git initコマンドでリポジトリの初期化を行います。.gitフォルダが作成されます。git initコマンドはheroku_first_app直下で行ってください。


 % git init

git add .コマンドで実行したフォルダ下のすべてのファイルをステージングエリアに移動しcommitの対象とした後、commitでメッセージをつけてリポジトリに登録します。


 % git add . && git commit -m "init"

Herokuへログインを行います。ログイン済の場合は必要ありません。


 % heroku login 

heroku createコマンドでHerokuにアプリケーションを作成します。createの後には任意の名前をつけてください。


 % heroku create hiroku-first-app
Creating ⬢ hiroku-first-app... done
https://hiroku-first-app.herokuapp.com/ | https://git.heroku.com/hiroku-first-app.git

表示されているURLにアクセスすると以下の画面が表示されます。

Herokuのページにアクセス
Herokuのページにアクセス

ブラウザからHerokuにログインしてダッシュボードを見ると作成したアプリケーションを確認することができます。

作成したアプリケーションの確認
作成したアプリケーションの確認

最後にコマンドラインでHerokuのリモートリポジトリにローカルのファイルをプッシュします。remote: Verifying deploy… done.が表示されることを確認します。


 % git push heroku master
//略
remote: Verifying deploy... done.
To https://git.heroku.com/hiroku-first-app.git
 * [new branch]      master -> master

Herokuのダッシュボードにログインして表示されているアプリケーションの名前をクリックします。Latest Activityでビルドに成功したことやデプロイが行われたことが確認できます。

デプロイしたアプリケーションの確認
デプロイしたアプリケーションの確認

右上にある”Open app”をクリックしてください。localhostで動作確認した時と表示される内容は同じですが、URLがherokuのURLになっていることが確認できます。

アプリケーションの動作確認
アプリケーションの動作確認
heroku openコマンドを実行するとブラウザが立ち上がりアプリケーションにアクセスすることができます。

ここまでの流れでHerokuのアカウントの作成からExpressサーバのアプリケーションのサービス公開までの流れを確認することができました。

Herokuのアプリケーションの起動と停止

アプリケーションの停止はHerokuのダッシュボードから行うことができます。リソースタブを開いて右側の赤枠で囲んだ鉛筆のアイコンをクリックします。

ダッシュボードのリソースタブ
ダッシュボードのリソースタブ

鉛筆のマークがでたら下記のようにして”Confirm”ボタンを押すと停止します。

アプリケーションの停止
アプリケーションの停止

停止後はステータスが下記のように変わります。

停止後のステータス
停止後のステータス

起動をしたい場合は再度鉛筆のアイコンをクリックして下記のように変更して”Confirm”ボタンをクリックします。

アプリケーションを起動する
アプリケーションを起動する

Herokuのファイル構造をみたい

Herokuに接続して、コマンドラインでファイル構造を確認することも可能です。


 % heroku login
 % heroku run bash -a heroku-first-app

Dynosとは

Herokuのダッシュボードにアクセスするとdynosという聞き慣れない単語が至るところに表示されています。dynosはLinxのコンテナです。dynosはHerokuだけで利用されるのでHerokuを使って経験がない人にはわからない単語です。

dynosにはtypeがあり、ダッシュボードから見ると4つの種類から選択することができます。無料枠で利用しているのでFreeのタイプが選択されています。HobbyやStandard 1X/2Xといったサービスも選択することができます。

Herokuのタイプ
Herokuのタイプ

サービスの負荷が増えスケールアウトしたい場合にはDynosを増やすことで対応を行うことができます。

以上でHerokuへのExpressサーバのデプロイの説明は完了です。ぜひ何かアプリケーションを構築したらHeroku上で動作確認を行ってみてください。